技能試験で落ちるのは、手が遅い人ではなく「迷う人」です
技能試験で落ちる人には、はっきり傾向があります。
手先が不器用な人ではありません。迷う人です。
欠陥はいろいろありますが、指導していて「あーー、やっちゃった」と思うのは2つだけです。しかもこの2つ、練習量では埋まりません。そこが厄介なところです。
1つめ。作れるのに、配線の組み合わせを間違える
いちばん多いのは、たぶんこれです。
作る技術は問題ないんです。器具の扱いも、被覆をむくのも、ちゃんとできる。でも配線の組み合わせを間違える。
原因ははっきりしていて、複線図の理解が不十分だと、配線を組んだときに迷うんです。手は動くのに、「あれ、これここでよかったっけ」となる。そこから崩れます。
スピードに自信がある人ほど、不安になります(笑)
これ、意外に思われるかもしれません。
作業が速い人ほど、早く終わります。当たり前ですね。でもそうすると、見直す時間が長く残るんです。そして見直しているうちに、だんだん不安になってきます(笑)
あの試験会場の独特な雰囲気も、迷わせているのかもしれません。周りは黙々と作業していて、自分だけ手が空いている。見れば見るほど自信がなくなる。
合っているのに直してしまう、というのがいちばんもったいないパターンです。
2つめ。リングスリーブ。これは女性に多いです
ほかの欠陥はだいたい同じくらいの割合なんですが、リングスリーブのところだけは女性に多いと感じています。
理由は時間です。
- 急いで圧着するので、線がずれます
- あるいは皮膜を挟んでしまいます
- どちらも欠陥なので、やり直すことになります
ここからが本番です。そのやり直しが、うまくいけばいいんです。でも、うまくいかない。もう一度切って、もう一度入れて、また圧着して……とやっているうちに、時間切れ。
これが実技で落ちる、いちばん多い終わり方だと思います。欠陥そのものより、やり直しに時間を食われて終わるほうが痛いんです。
この2つだけは、練習量では埋まりません
ほかの欠陥は、正直そこまで心配していません。実技を練習していれば徐々に直ってきます。手が覚えるからです。
でもこの2つだけは、練習だけでは補えません。理由が違うところにあるからです。
| 落ち方 | 本当の原因 | やること |
|---|---|---|
| 配線の組み合わせを間違える | 複線図があいまい | 複線図に書き込んでおく(手を動かす前に決めておく) |
| 圧着でやり直して時間切れ | 工具が手に合っていない | 工具を替える(握力を鍛えるのではなく) |
どちらも本番でどうにかする話ではなく、本番の前に片づけておく話です。だから「たくさん練習したのに落ちた」が起こります。
欠陥を一覧で見たいなら、テキストを買ってください
ここまで「多い2つ」を書きましたが、欠陥そのものは、もっとたくさんあります。
「全部まとめて見たい」という方は多いです。そこで、正直におすすめを書きます。
正解は公式にあります。ただし文字だけです
まず、欠陥の正式な基準は、電気技術者試験センターが公表しています。技能試験に係る欠陥の判断基準です。無料で読めますし、これが正解です。迷ったら必ずここに戻ってください。
ただ、あれは文字で書かれた基準です。「〜のもの」という書き方が並びます。初めて読む人が、自分の作品と見比べるには少しつらいと思います。
欠陥は、写真で見るのがいちばん早いです
最近は動画で勉強する方も増えました。それはそれでいいと思います。
ただ、欠陥に関しては写真のほうが分かりやすいです。動画は流れていってしまいます。欠陥は「セーフとアウトの境目」を見るものなので、止めて、並べて、見比べられるほうがいいんです。
そして、それが一覧になっていると、なお早い。
私がすすめているのは、電気書院の『第二種電気工事士技能試験候補問題丸わかり』です。欠陥が一覧で載っていて、しかも全ページカラーです。
全カラーは、初心者にはありがたいです。電線の色、器具の刻印、リングスリーブの刻印。色と形が分からないと判断できないものばかりなので、白黒だと結局分かりません。
当校ではテキストの販売はしていません。ご自分で買ってください、と言っています。手元に一冊あるかどうかで、独学の期間の進み方が変わります。
ただ、最初は見方が分からないと思います
正直に言うと、買ってすぐ全部読める人は少ないです。
写真を見ても、「これのどこがアウトなんだろう」となります。セーフとアウトの境目は、見慣れるまで分かりません。ここでつまずいて、本を閉じてしまう人がいます。もったいないです。
だから当校では、最初の何個かを一緒に見ます。マンツーマンなので、その人の作品を横に置いて「ここが基準です」「これはセーフです」と突き合わせられます。
何個かやれば、あとはご自分でできるようになります。見方が分かるからです。そこから先は本があれば進みます。ずっと通う必要はありません。
※ 書名・仕様は2026年9月時点のものです。この種のテキストは毎年改訂されます。受験される年の版をお選びください。
※ 上記のリンクは参考です。特定の販売店・出版社との提携関係はありません。当校では書籍を販売していません。
それぞれ、別の記事に書いています
長くなるので分けました。心当たりのあるほうからどうぞ。
- 複線図には何を書き込んでおくか(迷わないための準備。学科にも効きます)
- 圧着工具の選び方(握力ではなく工具を替える話。女性に多い欠陥の対処)
この2つを先に潰しておけば、残りは練習でどうにかなります。逆にここを残したまま練習量だけ増やしても、同じところで止まり続けます。
手先が不器用なので不安です
落ちる原因の上位2つは、器用さと関係ありません。複線図があいまいなことと、工具が手に合っていないことです。どちらも準備で片づきます。
欠陥は1つでも不合格ですか
はい。1つでもあれば不合格です。だからこそ、やり直しに時間を使わずに済む状態で本番に入るのが大事です。
時間内に終わりません
終わらない原因の多くは、手の速さではなくやり直しです。やり直しが発生する箇所を先に潰すほうが、速く作る練習より効きます。
見直していると不安になって、直したくなります
よくあります。合っているのに直してしまうのが一番もったいないです。複線図に本数や組み合わせを書き込んでおけば、見直しが「確認」で終わります。
欠陥の一覧はどこで見られますか
正式なものは電気技術者試験センターが公表しています。無料で読めますが文字だけなので、写真で見比べたい方はテキストを1冊買ってください。全ページカラーのものが分かりやすいです。
テキストは買ったほうがいいですか
買ってください。当校では販売していません。欠陥は色と形で判断するものが多いので、カラーの写真が一覧になっている本が手元にあると早いです。
自分がどこでつまずいているか分かりません
1コマ受けていただければ、その場で分かります。作るところを見れば、迷いなのか工具なのか手順なのかは、はっきり分かれます。
※ 上の傾向は、当校で指導してきた範囲での実感です(当校調べ)。欠陥の正式な判断基準は、電気技術者試験センターが公表している「技能試験に係る欠陥の判断基準」が正になります。基準は改訂されることがありますので、受験される年のものをご確認ください。
技能試験の対策の進め方は技能試験対策のページ、一度不合格になった方の立て直しは再受験・弱点対策のページにまとめています。自分がどこで止まっているか見てほしい方は、無料体験レッスンからどうぞ。