「机を使って」「握力を鍛えて」ができない人のための圧着工具の選び方

「女性は技能試験で不利」って、よく言われますよね。理由を細かく並べた記事もたくさんあります。

でも実際に教えていて思うんです。原因、ほぼ圧着工具ひとつです。

不利って言われるけど、犯人はほぼ圧着工具です

技能試験には、ケーブルを何本かまとめてリングスリーブに入れて、圧着する作業があります。これがとにかく硬い。

他の作業なら、手が小さくても握力が弱くても、やり方でどうにかなります。でも圧着だけは、握り込めなかったらそこで終わりです。「時間をかければできる」という話ですらありません。

どのくらい大変かというと、当校で受講された女性のうち、8割の方が最初は「できない!」と悲鳴をあげます(当校調べ)。2割ではありません。8割です。

これだけの割合でつまずくなら、それはもうその人の問題ではありません。道具のほうを疑うべきです。

白状します。私、セットの圧着工具では圧着できませんでした

正直に書きます。工具セットに入っていた圧着工具では、私は圧着できませんでした!

ちなみに私、女性のなかでは力があるほうだと思っています。それでも難しかった。教えていて改めて思うのは、女の人って本当に力がないんだなということです。8割が悲鳴をあげるのも、そりゃそうだよね、と。

セットに入っているのは大きめのものです。硬すぎるのと、大きすぎて掴みきれないのと、両方。力の問題だけじゃないんです。柄が最大に開いた状態から握り込む必要があるので、そもそも手が届かなければ力の入れようがありません。

しかも、困るのはそこだけじゃなくて。

  • 慣れていないうちは、せっかくリングスリーブに入れた線がずれます
  • 圧着したところに皮膜を挟んでしまうと✕
  • ほかにも採点基準はいろいろあります

つまり「握れた」だけではゴールじゃないということです。握るのに必死になっていると、線の位置まで気が回りません。工具が合っていないと、この段階でつまずきます。

これはセットで工具をそろえるのをおすすめしない理由でもあります。中身はメーカーの標準的な組み合わせであって、使う人の手に合わせて選ばれるわけじゃないですよね。

「机を使ってください」← 会場でそれ、たぶん無理です

検索すると必ず出てきます。机を支点にして、てこの原理で圧着する。動画でもよく紹介されている方法です。

これ、正直むずかしいと思います。

  • 東京の会場は、長机に2人が並んで座る形でした
  • 机を支点に体重をかけたら、かなり揺れます
  • 揺れたら、隣の人の作業にも影響しますよね

会場では「立つときは手を挙げてください」という説明もありました。その空気のなかで、机を押さえつけて全体重をかける前提の練習をしておくのは……うーん、という感じです。

しかも、会場うんぬん以前の問題もあります。特に力のない方は、机を使ったてこの原理でも圧着できませんでした。やり方の問題ではなく、そもそも足りていないんです。

練習でできても、本番でできなかったら意味がありません。会場の机で成立しない方法を、練習の前提に置かないでください。

「握力を鍛えてください」← いつまでに?

もうひとつの定番がこれです。握力を鍛えましょう。

いや、間違ってはいないんですけど。あれが軽々できるようになるまで、どれだけ筋トレするんでしょうか。試験日は決まっています。正直、苦笑いしてしまいました。

鍛えるのは、間に合う人がやればいい話です。間に合わない人に必要なのは、まったく別の答えです。

なので!探しました。答えは「小さい圧着工具」です

体を鍛えるより、道具を替えるほうが早いし確実です。ということで、小さい圧着工具を探しました。

探す前に調べたのが、どのサイズまで圧着できれば足りるのかです。工具は対応サイズが大きくなるほど、柄も大きく、硬くなりますから。

そもそも、候補問題は事前に公表されます

ここ、意外と使われていないポイントだと思います。

技能試験は、候補問題が1〜13まで、試験の前に公表されます。電気技術者試験センターが毎年出していて、実際に出た13問と解答も公開されています。しかもここ最近、大きくは変わっていません。

ということは、本番で何を作るかが、買い物の前に分かるということです。どの太さの線を何本つなぐのかも、全部先に見られます。つまり「圧着の刻印が中まででいい」ことも、事前に分かるんです。

ここを見ないまま「とりあえず大まで対応しているものを」と買ってしまうと、使わない性能のために、大きくて硬い工具を握ることになります。もったいないですよね。

実際に調べてみると、技能試験の候補問題で「大」は使われていません。工具メーカーのホーザンも、公式のFAQで「2017年〜2026年度上期の候補問題において『大』を使用する問題は出ていません」とはっきり書いています。

つまり「小・中」まで対応していれば足ります。「大」まで対応した大きい工具を持っていく必要はありません。

※ 候補問題は年度ごとに公表されます。上の内容は2026年度上期までの話なので、受験される年の候補問題でご確認ください。
※ リングスリーブ用の圧着工具は、試験で認められた規格に適合したもの(圧着すると刻印が付くタイプ)が必要です。電動工具は使えません。

かなり探しました。行き着いたのは ホーザン P-738 です

いろいろ握り比べて、私が行き着いたのはホーザンの P-738 です。「小・中」まで対応の、小さいほうの圧着工具です。

大きさの差を、数字で並べるとこうなります。

工具P-738(小さいほう)P-77(大まで対応)
対応サイズ○・小・中○・小・中・大
全長202mm286mm
重さ290g430g

全長で8cm、重さで140gの差です。数字で見ると小さく思えるかもしれませんが、柄が開いた状態から握り込むときの差は、これでかなり変わります。

「大きいほうが力は要らない」は、半分だけ本当です

ここ、ちょっとややこしいところなので書いておきます。

理屈のうえでは、柄が長い工具のほうが、てこが効くので少ない力で圧着できます。これは本当です。だから「大きいほうがラク」という説明も、間違いではありません。

でもそれは、握り込めればの話なんですよね。手が届かなければ、てこも何もありません。力を伝える前の段階で止まります。

手が小さい人にとっては、「てこが効くか」より「そもそも握り込めるか」が先です。ここが逆になっている説明が多いので、気をつけてください。

※ P-738 は「大」に対応していません。第二種の技能試験には足りますが、第一種や実務で「大」を使う場面には使えません。そこは割り切って選んでいます。
※ 上記のリンクは参考です。特定の販売店・メーカーとの提携関係はありません。当校では工具を販売していません。
※ 仕様は2026年9月時点のものです。購入前に最新の情報をご確認ください。

どうでもいいアドバイスをひとつ。爪、割れます

ここからは完全におまけです。でも、女性の方には地味にいちばん刺さる話かもしれません。

練習を始めると、爪が割れます。

第二種電気工事士の技能試験の練習を続けて割れた親指の爪。先端が縦に裂け、白くささくれている
練習を始めたころの私の爪です。バキバキでした

ケーブルを押さえる、皮膜をはぐ、器具に線を入れる。どこかで必ず爪を使っています。最初のころ、私の爪はこの写真のとおりバキバキでした。

それで、ネイルサロンに行ってかなり固めにしてもらったんです。そうしたら、皮膜をはぐのが有利になりました。

今のジェルネイルは固いです。割れませんし、そのぶん力がまっすぐ伝わります。正直に言うと、ジェルネイルは電気工事士に必要なんじゃないかとすら思っています。

爪が割れると、しばらく作業がしづらくなります。地味ですが、これも練習が止まる原因のひとつです。

それに、おしゃれをあきらめる必要はまったくありません。好きな色を楽しみながら、ついでに爪が強くなる。まさに一石二鳥です。電気工事の練習をしながら、手元もきれいでいられます。

「電気工事士=手が汚れる、爪なんて気にしていられない」というイメージがあるかもしれませんが、そんなことはありません。楽しみながら強くする。女子目線で言わせてもらうと、これがいちばんいい答えです。

ちなみに私は、ゴールドの派手爪で試験会場に行きました!

まわりは作業着の男性ばかりです。だいぶ浮いていたと思います(笑)でも、それで受けて合格しています。

採点されるのは作品です。手元がどうであれ、関係ありません。好きな爪で行ってください。

女子のみなさんには、特におすすめです!

とにかく一度、握ってみてください

ここまで書いておいてなんですが、硬さって文章では伝わりません。「硬い」と書いたところで、どのくらい硬いかは握ってみないと分からないんです。カタログの寸法にも、口コミにも出てきません。

だから当校では、買う前に教室で握って試していただくようにしています。複数のメーカー・複数のタイプを置いてあるので、自分の手でどれなら握り込めるかを確かめてから買えます。

工具を持っていなくても受講できます。1コマだけ受けて、握って、自分に合うものを見極めてから買う。これがいちばん失敗しません。買ってから「合わない」と気づくのが、いちばん高くつきますから。

女性は技能試験に不利ですか

工具が手に合っていないだけ、ということが本当に多いです。合う工具に替えると、同じ人が同じ作業をあっさりこなします。採点基準に男女の差はありません。

握力が弱くても大丈夫ですか

鍛えるより、工具を替えるほうが早いです。柄の開きが小さいものに替えただけで握り込めるようになる方、たくさんいます。

中サイズまでの圧着工具で足りますか

足ります。ホーザンの公式FAQでも、2017年〜2026年度上期の候補問題で「大」は出題されていないと明記されています。ただし候補問題は年度ごとに公表されるので、受験される年のものでご確認ください。

おすすめの圧着工具はどれですか

私はホーザンの P-738 を使っています。小・中まで対応の小さいタイプです。ただし手の大きさは人それぞれなので、握ってみてから決めてください。

練習で爪が割れてしまいます

私もバキバキになりました。ジェルネイルで固めておくと割れにくくなり、皮膜もはぎやすくなります。おしゃれを我慢する必要はありません。私はゴールドの派手爪で受験して合格しています。楽しみながら爪も強くなるので、一石二鳥です。

工具を持っていなくても体験できますか

できます。教室の工具を使ってください。むしろ買う前に来ていただくほうが、無駄な買い物をせずに済みます。

技能試験の対策の進め方は技能試験対策のページに、指導の形は完全マンツーマン指導のページにまとめています。とりあえず握ってみたい方は、無料体験レッスンからどうぞ。

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